所得税②「確定申告」

ある人が所得を得た場合、基本的には確定申告を行って納税しなければなりません。

つまり、自分で納付すべき所得税の額を計算し、それを申告して納税する義務があります。

しかしたとえば、サラリーマンの場合、個人が確定申告をする代わりに、会社がその個人の所得税を計算して納税します。つまり、サラリーマンは確定申告が不要なのです。この仕組みを「源泉徴収制度」と言います。源泉徴収については、また別の機会に説明します。

所得税の確定申告を行う人の代表格が自営業者です。自営業者はサラリーマンと違って、自ら所得税を計算して、申告、納税しなければなりません。

今回は、この自営業者による確定申告を中心に説明をしたいと思います。

所得税の確定申告

所得税の確定申告とは、暦年(1~12月まで)の所得を自分で計算し、税額を確定させて申告、納付を行うことを言います。

この確定申告には納付と還付があります。

納付とは、確定申告を行って、税金を納付することです。

還付とは確定申告を行って、払いすぎた税金を取り戻すことを言います。

所得税の確定申告のスケジュール

所得税の確定申告には納付の場合の確定申告と、還付の場合の確定申告があり、それぞれスケジュールが違います。

納付の場合の確定申告のスケジュール

1~12月までの所得を自分で計算し、翌年の2月16日~3月15日までの間に申告、納税をします。1月1日から2月16日までを計算の準備期間として設けています。 

納付の場合の確定申告は「義務」となります。確定申告をしなければ、後々重いペナルティを課せられるおそれがあります。

還付の場合の確定申告のスケジュール

翌年の1月1日から以降5年間のうちに申告を行なえば還付を受けることができます。還付のための確定申告は還付申告と呼ばれます。 

還付の場合は義務ではなく権利であるので、還付申告しなくてもかまいません。しかし、還付申告を行うことで払いすぎた税金を取り戻すことができるため、するに越したことはありません。

確定申告をする義務のある人

基本的にはどのような所得を得ても確定申告の義務があります。その中で代表的な確定申告の義務のある人や、実は確定申告の義務があり、忘れずに行うべき人などをいくつか紹介したいと思います。

・自分で独立して商売している人
・土地やアパートを貸して地代、家賃を得ている人
・2か所以上から給料を得ている人
・給与収入が2000万円を超える人
・副業の所得が20万円を超える人(20万円以内であれば、申告不要)

自分で独立して商売している人

自営業、フリーランスの人には所得税の確定申告の義務があります。

たとえば、農家、大工、弁護士、医師、税理士、ユーチューバーなどが該当します。

土地やアパートを貸して地代、家賃を得ている人

土地やアパートを貸して、地代や家賃収入がある人は不動産所得を得ている人なので、確定申告が必要となります。

2か所以上から給料を得ている人

二箇所以上から給与所得がある場合は原則として確定申告が必要です。なぜなら、それぞれの給与所得を確定申告によって再計算し、正しい所得税を算出する必要があるからです。

このような方はくれぐれも確定申告を忘れずになさるようにして下さい。

給与収入が2000万円を超える人

給与収入が2000万円を超える場合については、年末調整しない(できない)と規定されているため、各人で確定申告を行う必要があります。

なお、この2000万円は所得ではなく収入である点に注意してください。

副業の所得が20万円を超える人(20万円以内であれば、申告不要)

サラーマンなどが副業で所得を得た場合、その所得の額が20万円を超えるときは、確定申告が必要です。所得の額が20万円以内なら確定申告不要です。

なお、この20万円は収入ではなく所得である点に注意してください。

確定申告をすると税金が戻ってくる可能性のある人

払いすぎた税金を取り戻すための確定申告のことを還付申告と言います。

この還付申告が可能な人をいくつか紹介します。

・ふるさと納税や寄付をした人
・住宅ローンを組んだ1年目の人
・医療費が10万円を超えた人
・災害、盗難、横領にあった人 

ふるさと納税や寄付をした人

これらの人は還付申告をすることで、税金を取り戻すことができます。

ふるさと納税については、また別の機会に詳しく解説します。

住宅ローンを組んだ1年目の人

住宅ローンを組んだ1年目の人が住宅ローン控除を受けるためには、確定申告をしなければなりません。この確定申告を行うことによって、税金の還付を受けることができます。

なお、2年目以降は年末調整によって、還付を受けることができます。

医療費が10万円を超えた人

年間の医療費が10万円を超えた場合、還付申告を行うことで、税金の払い戻しを受けることができます。

なお、医療費については、1人だけでなく、家族全員の医療費を集めて、それを合計して医療費控除を受けることができます。

災害、盗難、横領にあった人

災害、盗難、横領により、損失を受けた場合には、その損失の額について還付申告を行うことで、税金の払い戻しを受けることができます。

なお、詐欺被害にあった人は対象外であり、所得税法はこのような人は救済しない制度になっています。

確定申告の知識を活かして自分のお金を守る

所得税の確定申告は義務であり、他方、所得税の還付申告は権利です。

義務は確実に実行しないと、後にペナルティをくらい、自分のお金を守ることができないことに繋がります。

反対に権利である還付申告はこれを必ず実行して、自己資金を出来るだけ増やして、自分のお金を守るべきです。

やはり、これらもその知識がないと、知らない間に大きな損失を食らうこともあるので、ある程度の知識装備を行って、損を回避していかなくてはなりません。

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