購入、賃貸、リース取引について

取引

経営者の方が社内で使用する物件を取得する方法には、購入、賃貸、リースなど様々な選択肢があります。

最適な選択をするためには、それぞれの選択肢の内容や違い、そのメリットとデメリットを理解することが必要です。この理解を基に、最適な選択肢を見つけるための検討を進めていきたいと思います。

購入

購入はまさしく文字通りで、お金を出して物件を取得することです。購入方法も2通りあって、一括払いと分割払いの方法があります。

賃貸

賃貸とは、お金を支払って物件を借りる契約のことです。厳密には「賃借」ですが、ここでは賃貸と呼びます。

リース取引

リース取引とは、特定の物件を一定期間使用する権利をリース会社から借り手に与え、借り手がその使用料を支払う取引です。

簡単に言えば、使用料を払ってリース物件を使用することです。

そうするとリース取引と賃貸は同じ感じがします。しかし、リース取引と賃貸は様々な点で相違します。イメージとしては、購入と賃貸の間という感じです。

図解で示すとこんな感じです。

①経営者はリース会社にリースしたい物件(上の図では車)を依頼します。

②リース会社は自社のお金でその車を購入します。

③購入した車を経営者にリースします。

リース取引の会計上分類

リース取引は会計上3つに分類することができます。

所有権移転ファイナンスリース取引
所有権移転外ファイナンスリース取引
オペレーティングリース取引

の3つです。

所有権移転ファイナンスリース取引は、取引の実態が購入とほぼ同じであり、リース期間終了後にリース物件の所有権が経営者に移転する取引のことです。

所有権移転外ファイナンスリース取引は、同じく取引の実態が購入とほぼ同じであるが、リース期間終了時にリース物件の所有権が経営者に移転しない取引のことです。

オペレーティングリース取引は取引の実態が購入よりも賃貸に近い取引のことです。

リース取引がいずれに当たるのかは、いろんな要件が定められており、それにより決定されます。そしていずれに該当するのか決定した後はその実態に適合した別々の会計処理が行われます。

購入、賃貸、リース取引の違い

これまで、購入、賃貸、リース取引の内容を見てきました。ここでは、特に違
いが分かりにくいところを見ていきたいと思います。

①賃貸とリースの違い

賃貸借契約はレンタル会社がすでに所有しているものが契約対象になります。したがって、すでにレンタル会社が所有しているものを不特定多数の客に一定期間貸し出すサービスとなります。

他方、リース契約はユーザー(自社)が選んだものをリース会社が販売会社から購入し、ユーザーに貸し出すというサービスです。

②購入とリース取引(所有権移転ファイナンスリース取引、所有権移転外ファイナンスリース取引)の違い

購入は法的にも会計処理的にも「購入」となります。すなわち、モノの所有権が移転し、会計上も「購入」という会計処理がおこなわれます。

他方、リース取引(所有権移転ファイナンスリース取引、所有権移転外ファイナンスリース取引)の場合は法的には「賃貸」、会計処理的には「購入」となります。すなわち、モノの所有権は購入者に移転しませんが、その実態は「購入」であるため、「購入」に即した会計処理がなされます。

それぞれのメリットデメリット

購入のメリット、デメリット

メリット

・自分のものにできる。使用しなくなれば、売却や賃貸を自由に行えます
・自分使用にカスタマイズできる。賃貸物件はそれができません。

デメリット

・維持費がかかる。固定資産税や修繕費が自腹となります。
・購入したモノが陳腐化して使えなくなることがある。そうすると結果的に賃貸の方が良かったという場合      
 も考えられます。

賃貸のメリット、デメリット

メリット

・購入による失敗を回避できる。すなわち、賃貸であるなら、契約を解除して返せばいいという手段が
 使えます。
・維持費がかからない。つまり、固定資産税や修繕費などを払わなくてもよい。
・初期費用を抑えられる。つまり、固定資産を一括購入できる資金がない場合でも賃料の分割払いでその固

 定資産を入手できます。

デメリット

・自分のモノに出来ない。いくらいいモノであっても、自分のモノではなく、契約終了時に返さなければな
 らなりません
・賃貸物件は自分のものではないので、勝手にカスタマイズできません。

リース取引のメリット、デメリット

メリット

・初期費用を抑えられる。つまり基本的には毎回のリース料の支払いだけであり、初期費用は抑えられます。
・融資枠を使わず、審査期間も短い。銀行から資金を借り入れて購入する場合、融資枠もあるし、審査について労力も時間もかかります。しかし、リースならこれらの問題を回避できます。

デメリット

・リース料の支払総額が高い。リース料については、物件の購入費用に加えて金利・保険料・固定資産、さ
 らにリース会社の利益も含めて支払うことになるため、購入した場合と比較してリース料総額が高くなり 
 ます。また、金利部分だけを見たとしても、銀行からの借入に比べて高いことが多いです。
・リース期間終了後のリース物件の所有権の問題。リース期間終了時にリース物件の所有権が借り手に移転
 しない取引の場合、リース期間の終了後もその物件を使用するためには、更にリース料を支払う必要が出
 てきます。

購入か賃貸かリースかの判断

これまで、購入、賃貸、リースの内容や違い、それぞれのメリット、デメリットを見てきました。これらをきっちり理解した上で、自社の状況を適切に把握し、最適な選択をしていくべきです。

例えば、今現在キャッシュがあまりなくて、一括購入できない場合は、分割購入以外にも賃貸、リースも視野に入れて考え、最適な選択を決めていくべきです。

このように、「会社にとって最適解の行動は何か?」を考えて行動を続けることにより、会社経営は健全なものとなり、軌道に乗っていくものではないでしょうか。

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