現代貨幣理論(MMT)

現代貨幣理論(MMT)とは何なのか。

「税は財源ではない」「消費税を廃止しても問題はない」「国民の借金は嘘」「日本国は財政破綻することはない」などを耳にすることはあると思いますが、これはMMTという理論に基づいた考え方です。

私もこのMMTの勉強を少ししてみたのですが、理解できないことが多く、間違っている所も多々あるかもしれませんが、このMMTの解説を分かる範囲でしていきたいと思います。

MMTを理解するためにはまずは「日本政府(国)の財源の調達方法」という理解が必要です。キーワードとしては「政府(国)」「中央銀行」「国債」「税金」などです。

そして、MMTとは世の中に出回るお金の量を適切に調整して、経済を発展させていくための理論であります。具体的には、インフレという状態とデフレという状態がありますが、「穏やかなインフレ」が経済成長に一番適していると言われているので、そこを目指す理論であると解釈します。

それでは順を追って説明します。

日本政府(国)の財源の調達方法

日本政府は日本国を運営するためにその資金を調達します。

その調達した資金のことを「歳入」と言います。

そして、その得た「歳入」の範囲で何にいくら使うかを決定します。これが「歳出」です。

「歳入」は別の言い方をすれば「財源」ということになります。「財源」の確保の方法は現在の考え方では「税金」であり、足りない部分は「国債」を発行して調達することになります。

しかし、MMTにおける「財源」の確保の方法は以下のようなものです。

MMTにおける歳入すなわち「財源」は①国債発行による日本銀行からの資金調達であり、②この「財源」で国民に公共サービスなどを提供し、③最終的に税金としてお金を回収するということになります。

このことからMMTにおいては「税は財源ではない」と言われるのです。

MMTの目的は「緩やかなインフレを目指すこと」

まずはインフレ、デフレを説明をします。インフレ、デフレとはモノとお金の量の関係性で説明できます。

インフレは、モノやサービスが不足しているけれど、国民がそれを購入するためのお金は十分にある場合に起こります。お金はあるけれど、モノやサービスが不足するなら、高い値段を出してでもモノやサービスを購入しようとします。その結果、モノの値段が上がる、すなわちインフレが起こるのです。

一方、デフレは、モノやサービスは充実しているけれど、国民がそれを購入するためのお金を十分に持っていない場合に起こります。モノやサービスは充実しているけど、それを購入するためのお金がなければ、国民はモノやサービスの購入を控えます。その結果、モノが売れないからモノの値段が下がる、すなわちデフレが起こるのです。

「穏やかなインフレが経済」にはいいとされています。一般的には1~2%のインフレが理想的とされています。このような「穏やかなインフレ」目指すのがMMTであります。

MMTに基づいて「穏やかなインフレ」を実現する方法

日本は現在、デフレからわずかにインフレへと移行しています。インフレの主な原因は、原材料などの輸入価格の上昇に伴う物価の上昇と考えられます。

円安がインフレの要因である一方で、日本国民の給与が増加していないため、「物やサービスの価格は上がるが、それを購入するための資金がない」という状況に陥っていると思われます。

MMTを基に、日本国民の給与を増やし、それに伴い物価が緩やかに上昇する「穏やかなインフレ」を実現するためには、どのような措置を講じるべきでしょうか。

考えられる施策は以下のようなものです

・政府の財源を増やし、国民にお金を流す
・減税

政府の財源を増やし、国民にお金を流す

日本は生産力に優れ、物やサービスを生み出す能力があります。不足しているのは、国民がそれらを購入するための資金です。したがって、政府は国債を発行して財源を確保し、その資金を国民に分配することで、物やサービスを購入するための資金を増やすべきです。

具体的には国民に給付金を出す、公共事業を増やす、企業に補助金を出すなどです。

減税

日本国民がモノやサービスを購入するための資金を増やす方法として、減税を行って政府が国民から徴収するお金の量を減らすことでも実現します。

MMTの主張とその理由

MMTの立場に立つと、以下のような主張がなされます。このように主張される理由を述べます。

・「税は財源ではない」
・「消費税を廃止しても問題はない」
・「国民の借金は嘘」
・「日本国は財政破綻することはない」

「税は財源ではない」

MMTにおいてはまずは①政府が国債を発行して資金調達し、②その財源で公共サービスなどの提供を行い、③国内においてお金が有り余る状態にしないために税金で徴収を行うと考えるので、財源は「国債の発行による資金調達」であり、「税」ではないということになります。

「消費税を廃止しても問題はない」

「税」は財源ではないため、消費税を廃止しても政府の財源が減少するということは起こりません。そして、今の日本国民はモノやサービスを購入するためのお金が不足している訳だから、消費税を廃止することによって日本国民の手元にお金が残るようにすれば、経済が活性化すると考えるのです。

「国民の借金は嘘」

政府は財源を確保するために国債を発行し、資金を調達します。その結果、政府は日本銀行に対して債務を負うことになります。そして、この財源を国民に向けて使うことで、国民はそのお金を受け取ることになります。

国債の発行による資金調達は政府の借金であり、国民の借金ではありません。実際、国民は政府の支出によってお金を得ています。したがって、国債発行による資金調達を財源とする政府の支出は、政府の負債であり、国民にとっては資産となります。

さらに、政府は日本銀行の親会社に当たります。そのため、政府と日本銀行は一つの組織体として扱うことができ、国債や資金調達の取引は内部取引と見ることができます。この観点からは、政府が日銀に対して借金をしていないとも言えます。

「日本国は財政破綻することはない」

日本政府は国債を発行して資金調達を行います。つまり、日本政府は国債の保有者から「貸したお金を返してね」と言われる立場にあります。

ではどのような者が日本の国債の保有者なのでしょうか。下の円グラフが日本国債の保有者です。

財務省HPより

政府は日銀から資金調達していますが、これに関しては政府と日銀は親子会社関係なので実質的に返済の必要はありません。

国債の保有者として、民間銀行や生命保険会社の割合が高いですが、基本的にはこれらの会社に対しては国債の返済は行われず、「国債の借り換え」が行われます。これらの会社にとっては政府からお金を返してもらうより、国債を持ち続けて利息を得た方が得だからです。したがってこれらの者に対する返済も不要ということになります。

そうすると政府の借金約1082兆円のうち、8割超が実質返済不要なのです。よって日本政府が約1082兆円の借金を返済できなくて財政破綻するということもないのです。

また、日本政府が借金の返済を迫られた場合には、日本政府は日銀から資金調達して返済に充てれば問題はありません。

最後に

現代貨幣理論(MMT)は、非常に複雑で理解しにくい部分も多いです。

MMTには、「税は財源ではない」「消費税を廃止しても問題はない」「国民の借金は嘘」「日本国は財政破綻することはない」といった主張があります。

そしてMMTの目的は、政府が国債を発行して資金を調達し、その資金を使って経済を活性化させ、そして税の徴収などにより市場に出回るお金の量を調整し、穏やかなインフレを目指すことです。

MMTを完全に理解するのは難しいかもしれませんが、少しずつ学んでいくことで、日本経済に対するひとつの見方ができるようになると思います。

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