付加価値税(VAT)は間接税のひとつであり、アメリカ以外のすべてのOECD諸国で導入されています。
日本の消費税も付加価値税に分類されます。
つまり、名称は違えど、付加価値税と消費税は同じものと考えられます。
消費税は売上税
消費税の基礎の所でも述べたように、消費税は販売の時点で課税される。であるなら、販売者の売上に課税すれば、消費税の仕組みが成立することになります。
販売者は商品を100円で販売するに当たり、10%の消費税10円を徴収したい。
この場合、販売価格(売上)100円に10%を課税したら、消費税10円を徴収できることになります。
このように売上に課税すれば、消費税を徴収したことになります。
消費税の仕組み(仕入税額控除)
実際の消費税の納税のしかたを3者(製造者、販売者、消費者)が登場する場合で説明します。
上の図を見て下さい。
工場で製造されたハンバーガーは税込み77円でお店に販売されます。このとき、工場は7円の消費税を預かり、国に納めます。
お店は税込み110円でハンバーガーを販売し、消費者から10円の消費税を預かります。
ハンバーガーの消費者は一番右にいる人です。したがって、消費者が消費税を負担すべきであり、工場やお店は消費税を負担すべきではありません。
お店は消費税を消費者から10円預かっていますが、工場からハンバーガーを仕入れる際には7円の消費税を支払っています。しかし、お店はハンバーガーの消費者ではないため、消費税を負担すべきではありません。
したがって、預かった消費税10円から支払った消費税7円を引いた3円の消費税を支払えば良いのです。
これにより、消費者が負担すべき消費税10円について、工場が7円、お店が3円を納税していることになります。
このように、お店が預かった消費税10円から支払った消費税7円を控除することを「仕入税額控除」と言います。
付加価値税
消費税は別の角度から見れば付加価値税と言えます。
下の図を見て下さい。この図は先ほどの図と同じ例です。
工場はハンバーガーを70円で生産しました。つまり、価値0から70円の価値を生み出しました。
そのハンバーガーをお店が仕入れ、包装などを施して70円の価値のハンバーガーを100円で販売しました。したがって、お店は30円の価値を生み出しました。
工場が生み出した価値70円に10%の税率をかけると7円になり、お店が生み出した価値30円に同じく10%の税率をかけると3円になります。合計すると10円の納税額が生じます。
このように、工場とお店が生み出した価値に税率をかけることでも、消費税が計算できるため、消費税は付加価値税と呼ばれています。
しかし、日本の法律においては仕入れ税額控除を用いて消費税額を計算します。つまり、付加価値に税率を掛け合わせて消費税を計算しません。
このように、消費税はそれぞれの事業者が生み出した付加価値に税率を掛け合わせることでも求めることができるため、付加価値税と呼ばれるのです。